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 ジリアン・ウェアリングがドキュメント系のビデオ作品を制作する嗜好と、そこで重要であると感じていることのひとつとして…

 「子供の頃から社会問題を扱ったドキュメンタリーの番組が好きでした。物事が今どうなっているのかということを伝える作品が作りたい、そう思って1990年にビデオの仕事をはじめました。自然に一般市民に近づきたいと思っています。……(中略)……

 私たちはみんな、実際に起きていることを吸収して生きています。私の作品にしても、現実の政治に目をつむってはいません。でも、イデオロギーを広めるためのプロパガンダ作品を作っているわけではありません。重要なのは、作品にいたるまでの概念のプロセスだと考えています」 ※1

 

ウェアリングが作品制作において追求していることのひとつ…

  「人の持つ様々な面を可能な限り見つけ出したい」 ※2

 

ウェアリングの名が知られる契機となった作品《誰かがあなたに言わせたがっていることじゃなくて、あなたが彼らに言わせてみたいこと》の制作過程を知るひとつとして…

 「毎日、2年間ほど続けたので700人ぐらいですね。…(中略)…極端に恥ずかしがりやな性質ですから、できないなと思ったり、見本がないので、やっていいことなのか、どうすべきかと迷いました。私自身、人々の答えに驚き、興味を持ち、ドキュメンタリー的ですからアートの範疇とはあまり考えてなくて、画廊で発表するのではなく、『フェイス』という雑誌に1992年に掲載してもらったのです。でも1993年にアートスペースで発表する機会ができ、見てくれた人たちが「アート」だと評したわけです。現在までに発表したのは700点の内56点だけですが、…(後略)」 ※3 

 

ウェアリングのような社会派ドキュメンタリー?的な作品がTVとしてではなく、ファインアートのビデオ・インスタレーションとして存在することの意義のひとつとして…

 「テレビでは、人がただ話したいことを話続けて、モラルに関する発言をするといった番組はないので、この作品(《告白》)を公開したときには、受け入れてもらうのが困難でしたし、私自身モラルがないといった批評もありました。こんな空恐ろしいことを人に話させて、とんでもない作家だという反応です」 ※4

 

こうした作品群がファインアートのビデオ・インスタレーションとして高い評価を得る理由、あるいは作品の質を支えていることのひとつとして…

 「グループのダイナミクス(生成・変動)に興味があり、また酔った状態だと脳は理性を遠ざけて、より身体的なレヴェルに近づくこと、自意識との馴れ合いや中断、何が抑圧的でそうではないか、強制と教育とコントロールの問題、出来事に嫌気がさしたことがわかったときに飲んだりする、そうした意味などを知りたいと思ったのです」 ※5

 


 

 

  

 

 

 

 green07_next.gif ジリアン・ウェアリングの「美術家DATA」

 

ジリアン・ウェアリング関連の書籍

 

 美術家の言葉の流用先、引用先

※1  『THE NOW ART BOOK』 監修:ヴァルデマー・ヤヌシャック テキスト:セリア・リッテルトン企画編集:資生堂企業文化部ザ・ギンザアートスペース『ル・ミレニュム』編集部 平山景子、豊田佳子、深井さえ子 発行:光琳社出版 1996 p169

※2 『リアル/ライフ イギリスの新しい美術』 カタログ論文・資料翻訳:伊藤治雄、洲濱元子、山口洋三 発行:朝日新聞社 1998 p89

※3 「ジリアン・ウェアリング 直視することのタブー」 『アートと女性と映像 』 著:岡部あおみ 発行:彩樹社 2003 p238

※4 同上p241 ※5 同上p244