美術家の言葉 red05_next.gif コンセプチュアルアート>ジョセフ・コスース


  

  

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美術家DATA コンセプチュアルアート目次

美術家の言葉 目次

ism(美術運動)の証言 目次

絵画の制作技法・構造と効果 目次

 

コスースの最も著名な作品でもあり、コンセプチュアル作品の典型として、そしてその幕開けとして記念碑的なシリーズ(実際の道具と、それを写真にとって実物大にプリントしたものと、その者の意味を表した辞書の言葉を抜き出した《1つの3つの椅子》《1つと3つのショヴェル》)の制作の意図として…

 「…あの作品は、物体のプレゼンテーションではなく、プレゼンテーションの実際的なプロセスに重点を置くものでした。つまり、意味の生成を命題としたのです。鑑賞者も物質そのものに対峙するというよりも、物質によって媒介される観念に対峙します。芸術とは単なるスタイルではありません。スタイルに閉じ込められた芸術の解放を私は試みました。芸術とは高価な装飾なのか、それとも哲学など数々の知的ジャンルに比肩しうる真摯な活動たりうるのか、それを問うたのです」 ※7

 

ジョセフ・コスースが考える芸術家のポジショニング、そしてその役割として…

 「人類学者は共同体に属してはいない。彼は自身が研究する文化の外側にいる。つまり、研究対象たる人びとに対して彼がなんらかの影響をもたらすことがあるとしても、それは自然界の現象が人びとにもたらす影響の場合と変わりはないのである。このように社会的基盤を有さない者とは異なって、人類学者としての芸術家は、自身が身を置く社会――文化的文脈の内部で操作し、そこから発展を遂げようとする。どっぷりと社会の中に浸っているがゆえに与えうる衝撃。そしてその彼の諸活動が文化を具現するのである」(ジョセフ・コスース 『人類学者としての芸術家、第二部』1975/『哲学以後の芸術、それ以後』MIT出版局 1991 p119に所収) ※6

 

 「美術館や画廊といった建築物から外に出て、多くの作品を社会に発信する必要があります。文化的かつ経済的な力を得るには、効果的なプレゼンテーションを考えるべきでしょう。保守のフェティシズムに呑まれたり、新しいスタイルの追及に終始したりすることなく、意味を生成する。そんな社会的な責任が芸術家にはあるのです。 ……(中略)……

 私はいつも、社会的に多様な意味を生成するプロセスを露呈したいのです。単なるメッセージのマニフェストや、意味の皮相的なプレゼンテーションには、興味はありません」 ※8

 

ジョセフ・コスースのコンセプチュアルアート創生初期の考え方(現在は、そこから発展して変貌しているが…コンセプチュアル・アートのインパクトの強さを示したものとして)

 「すべての芸術は……、本来的にコンセプチュアルであり、それは芸術は概念的にのみ存在するからだ」 ※1

 「物体は、芸術の文脈に置かれてのみ芸術である」※2

 

(重複となるが)コスースが芸術とはどのようなものかと考えているかを表すものとして…

 「とくに芸術というのは意味をつくるものです。そういった意味で、芸術家は単に材料を使うのではなくて、意味を構築するような構造とかかわってゆく」(1982年、来日時のインタビューで) ※3

 「このアートの観念にとって基本的なことは、過去のもの、現在のものを含め、またその構築要素がなんであれ、アートの全命題のもつ言語的な本質を認識することだ」 ※5

 

ある一時期、コンセプチュアルアートが徹底して目指していたひとつの考えを現わすものとして…

 「シソーラス(語彙索引辞書)からとった項目を使った作品を今手掛けているが、何らかのものの観念にまつわる複数の側面を扱うものだ。今回は、フォトスタットの複写紙をマウントしたものをやめ、新聞や雑誌に載せる有料広告へと、発表形態を変えた。こういうやり方で作品の非物質性を打ち出し、絵画とのいっさいの結びつきを断ち切った。この新しい作品は貴重なオブジェとはなんの関係もない。興味をもつ人の数だけ、みんなの手に届く。装飾的でもない。建築とはなんの関係もない。家や美術館に入れることもできるが、創作過程ではどちらも意識のうちにはなかった。新聞や雑誌から破りとってノートに挟んだりホッチキスで壁に止めたりして眺めてもよいし、破らずそのままにしておいてもよい。どっちにするかの決定はこのアートとは無関係だ。アーティストとしての私の役割は広告が掲載された時点で終わる」(1969年)※4

 

 

 


 

 

  

 

 

 

 

green07_next.gif ジョセフ・コスースの「美術家DATA」

ジョセフ・コスース関連の書籍

 

 

美術家の言葉の引用先、流用先

※1 『現代美術の歴史』 著:H.H.アーナスン 発行:美術出版社 1995 p562

※2 同上 p563

※3 『現代美術 ウォーホル以後』 編:美術手帖編集部 発行:美術出版社 1990 p186

※4 『岩波 世界の美術 コンセプチュアル・アート』 著:トニー・ゴドフリー 訳:木幡和枝 発行:岩波書店 2001 p162―163

※5 同上 p163

※7 「意味の生成/歴史の形成」 インタビュー:上田高弘 通訳:大住遥 特集 ジョセフ・コスース コンセプチュアル・アートをめぐって 『美術手帖1994年12月号』 発行:美術出版社 p64―65

※8 同上 p69―70