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絵画の制作技法・構造と効果 目次

 

パウル・クレーが到達した、絵画に対する考え(表現する価値のあるもの)を表すものとして…

 「これまでわたしたちは地上にあって眼に見えるものを描いてきた。見ていたいもの、見てみたいと思うものを描いてきた。今日、わたしたちは眼に見えるものの背後にある現実をあらわにし、それによって眼に見える世界は森羅万象のうちにほんのわずかな例外にすぎず、そのほかにも表面には出ない数多くの現実が存在するのだという信念を表現するのである」 ※9

 

 「1907年のある日迷い込んだ装飾芸術の袋小路から、私はとうとう抜け出ることができたのだ。自然主義的な習作で腕を磨いた私は、いままた魂の即興画という、私本来の領域に足を踏み入れることが許される…自然は、もはや間接的な役目しかはたさない…」 『クレーの日記』南原実訳、新潮社  ※5

 「小さな仕草を丹念に繰り返していけば、いつかは、ものを形づくることを知らない誌的興奮によっては到底とらえるべくもないものが、生まれてくると思う」 『クレーの日記』南原実訳、新潮社 ※1

 

クレーの引く線を理解するためのヒントとなるものとして(線に対する独自の思考とこだわり)…

「さて、論を進めて、より良き認識の国への小旅行にでかけよう。死んだ点を越えて、運動を開始しよう。それを最初の行為だと仮定しよう」

「しばらく中断し、呼吸を整える(途切れがちの、あちこちで分断された線)。どれほど歩いたかを振り返って見る(反対の運き)」「どの道を選ぶべきか心の中であれこれ考える(線の束)。川に行く手を遮られ、」「さらにボートで流れを横切り(線描的には波状の動き)、橋を渡る(線描的には弧状の連なり)。すると道ずれに出会い、彼らと一緒にしばらく旅を続ける(収斂する線)、しかし、やがてお互いに分かれることになる(拡散する線)。旅を続けるうちに、まだ耕作されていない畑を横切り(線が通過している平面)、そして深い森を抜ける。行商のかご細工職人で出会い(輪)、遠い地平線にジグザグの線、星の煌めく夜空は「天の種床」となる」 (1920年に編集者のカジミール・エートシュミートの要望に応えた文集『創造的告白』に寄せたテキストの中で…) Ebenda,S,28f ※4

 

クレーが目指していた表現形態のひとつを表すものとして…

 「私の関心はあくまで抽象芸術であった。−−を把握した。次の目標は−−それはまたはるかかなたの目標でもあるが−−建築学的な絵画を詩的な絵画と調和させる−−少なくとも関連づけることである」(『クレーの日記』南原実訳、新潮社) ※7

 

クレーにとって、造形手段(理論)はどのような“位置”を占めていたかを表すものとして…

「私たちの激しく高鳴る心は、私たちを深く深く、根源へと駆り立てます。この根源への衝動から生じてくるものは、たとえそれを夢、概念、空想と呼ぼうが、適切な造形手段を用いて、それが見事な芸術作品を形づくる場合にはじめて重大な意味をもつようになります。そうなれば、生を普通に見えるよりは、少しばかり広くするあの珍しいことが現実、芸術上の現実となります」 (1924年イエーナの芸術協会で行った講演のなかで)Paul Klee,Vortrag in Jena 26 .Januar 1924, Faksimileausgabe ,in:Minerva.Jenaer Schriften zur Kunstgeschichte,Bd.10 s,11-69 訳はパウル・クレー『造形思考』土方定一、菊盛英夫、坂崎乙郎共訳、新潮社 1973 上巻 ※2

 

クレーにとって絵画内の“時間的要素”はどのようなものと考えていたかを表すものとして…

1917年 「単純な動きは、陳腐に思われる。時間的な要素は、とりのぞかれなければならない。昨日と明日は、時をおなじくしてある」 『クレーの日記』南原実訳、新潮社 ※8

 「ここではすべての行為が単に機械的なものにすぎず、単に仮象にすぎない。本質的なのは、ただ長い間内部に向かって一杯に眼を見開いていることだけである」 ※10

 「いかにして私の射程距離をあそこまで伸ばすのか。この河を越え、この潮を越え、この山の向うへと。現世の領域とこの世ならぬ領域を思考によって思うままに包括できる能力と、肉体的な無力との間に生ずる矛盾は、まさに人間の悲劇の源である。力と無力とのこの二律背反が、人間存在を分裂させるのだ。翼はないが、捕われの身でもない、それが人間である」 (『造形思考』のなかから) ※11

 


 

 

  

 

 

 

green07_next.gif パウル・クレーの「美術家DATA」

パウル・クレー関連の書籍

 

 

 

美術家の言葉の流用・引用先文献

※1 酒井忠康 「パウル・クレーと日本のことなど」』

※2 奥田修「旅の日のクレー、その足跡を訪ねて」

※4 ミヒャエル・バウムガルトナー 「パウル・クレー、その想像の旅」

※5,6,7,8 東俊郎 編 「ひらかれた迷宮を旅する−パウル・クレー」

 上記1〜8は『旅のシンフォニー パウル・クレー展』 発行:中日新聞社 2002より

※9 『抽象美術入門』 著:フランク・ウイットフォード 訳:木下哲夫 発行:美術出版社 1991

※10 『メルツバッハー・コレクション展』 作品解説 根本亮子  監修:千足伸行 発行:東京新聞 2001 p156

※11 ※「ポンピドー・コレクション展カタログ」 編集:発行:東京都現代美術館、朝日新聞社、テレビ朝日 1997 p65