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ラリー・クラークの写真が、そのスキャンダルな題材以外にも独自なスタイルを持っている理由のひとつとして…

 「写真家にしろフォト・ジャーナリストにしろ、すばやくフォーカスを決めて、フレーミングも構図もよくできた写真を一瞬のうちに撮る名人は多いけれど、写っている人のことなんかまるで気にかけない。おれはそれが気になった。おれだってすばやくいい写真が撮れるけれど、それだけじゃなくて、おれがこんなふうに写ってほしいと思う姿、本人たちの望む姿に写せる」 (フラッシュ・アート 1992年5、6月号) ※1

 

今では“幻の写真集”とも称され、ラリー・クラークを一躍有名にした処女作が、その題材以外にもさまざまな魅力的な要素を持ち合わせていることの一片……

 「『タルサ』が映画のように見えるのにはちょっとした仕掛けがあって、じつは自分でも本ができてからかなり後になるまでそのことに気づかなかったんだけどね。あの本のなかでは、カメラの方を向いている人がひとりもいない。最初から最後まで、写っている人がだれもカメラを見ていないと、その本は映画みたいな感じになる」 (フラッシュ・アート 1992年5、6月号)※2

 

クラークの写真の中に込められているある意図、および写真に露呈している(常に追い求めていた)感情として……

 「『ティーンエイジ・ラスト』の狙いは、後戻りして過去を写真に撮ることにあった。あそこに写っている若い連中のことは、まだよちよち歩きのころから知っていたよ。………(中略)………連中には単刀直入にこれこれのことをしたいと話して、また仲間入りさせてもらったわけだ。やってみたら面白かったよ、昔に戻りたいという夢が実現して、自分自身の過去の姿を撮影しているような気がした。

 ……(中略)………あの本のなかの写真の多くでおれはもう一度十代になろう、自分にもたしかに十代の時代があったことを裏付けようとした。どうしても自身が持てなかったのでね。おれはおくてで、十代をやのそこねたから、その頃に戻っりたいという欲求にいつもつきまとわれている。写真に写っている連中みたいになりたいといつも思っていたし、あの連中を撮るのは申し分のない十代の姿を示すつもりなのかもしれないな」 (フラッシュ・アート 1992年5、6月号) ※3

 

クラークが写真から映画製作へとシフトしていった、ひとつの動機ともなるもの

 「写真には撮れないことについて考えていた。子どもが両親を殺すところなんて撮りようがない。若い連中が自慰しながら死んでいくところにいあわせるなんてことはできっこない。コラージュは、写真には撮れないものを作品化する手段、実物を撮るのとは違うやり方で同じ内容を伝える方法といってもいい。十代を撮った写真はいくらでもあって、ハリウッドやメディアがつくりあげた理想的な少年、青年期の姿、おれ自身が若かった50年代の子どもたちのあるべき姿とされていたもの、現実と縁もゆかりもない理想的なイメージならいくらもあるから、そんなものをあれこれとりあわせるようになった」 (フラッシュ・アート 1992年5、6月号) ※4 

 「これまで撮ってきた写真は、どれも主に自分自身に関するものであり、感情や直感から生まれるものだ。私は15歳になるまでに人生に取り返しのつかない傷を負ってしまった人をたくさん知っている。もし、真実を語り、それが正真正銘の本物であり、物事をあるがままに写しているのであればそれはそれで構わないと思う。だけど私は多くの人々の人生にあまりにも馴れ馴れしくしてしまった」 ※5

 

 


 

 

  

 green07_next.gifラリー・クラークの「美術家DATA」

 

 

  

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 美術家の言葉の引用先・流用先

 「永遠の少年期 ラリー・クラーク/マイク・ケリー」 翻訳:木下哲夫 『美術手帳1996年8月号』 発行:美術出版社 p59

※2 同上p60 ※3 同上p63 ※4 同上p65−66

※5 『THE NOW ART BOOK』 監修:ヴァルデマー・ヤヌシャック テキスト:セリア・リッテルトン企画編集:資生堂企業文化部ザ・ギンザアートスペース『ル・ミレニュム』編集部 平山景子、豊田佳子、深井さえ子 発行:光琳社出版 1996 p38−39

 

ラリー・クラーク関連の書籍・DVD・ビデオ

 著名な『タルサ(Tulsa)』写真集は、入手困難。古本とかオークショを調べるしかありません。あとは下記のペーパーバッグとか