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絵画の制作技法・構造と効果 目次

 

独自の様式ともいえる画面構成(画面分割)を用いる意味を解説するものとして…

「まず肝心なのは、内容以前に絵画的な要素がくるということですね。それはまるで耳や口の不自由な人と恋に陥るようなものなんだ。まず視覚的な要素を探し、それを吟味します。平面はまだ人を驚かす視覚的な可能性をもっていると思う。クロスハッチングを描いていたとき、そいつをイメージで埋めて、なおかつ、イメージがもっと見える空間をつくてみてはどうかと考えた。

 キュビズム以来、ものを併置することはやられてきたけれど、それをクロスハッチングが格子模様の中でやることは試されていない。そうすることで、別のイメージが出てくるのではないかと思った。意識下のイメージのようだけれど、それは組み立てることができる」 ※5

 

外見上、異なるイメージを並列することから生まれるもの…、また、その発想の源泉となっているもののひとつとして…

「フロリダとニューヨークに住んで気づいたのだけれど、フロリダでは人はすごくナチュラルで、ニューヨークでは洗練されている。そして人は動物のような爪や耳や鼻孔をもっていることに気づいた。フロリダで小さな動物の小さな耳を見てニューヨークに戻ると、イヤリングをしたきれいな女性の耳が気になるといった具合なんだ。ああしたソフィティケートされた人たちにも動物の名残があると思うよ。だから機械とミックスした人間性というものを考えたんだ」 ※5

 

「商業的で資本主義的な国に育って、いつもラジオのコマーシャルを聞かされていたのです。それに大きなビールの看板。五十年代にはシュガー・レイ・ロビンソンのピンクのキャデラックのオープン・カー。“灼熱のズボン”というのがあって、みんなパステル・カラーなんだ。パステル調のトイレやパステル調の浴槽なんていうのもあった。それにスーパーマーケット。みんな環境がそんな色なんだ。 (中略)

 私は看板描きから始めて、あらゆるものを描いた。ビール、シャツ、スパゲッティ、ヌードル。仕事から家に帰るとき、絵具をよく持ち帰ったんだ。ビールを描くために自分で混ぜた絵具を使って黄色いシャツを描き、同じ色で抽象画を描き、そいつは車の色でもあって、抽象であっても決して客観的ではないんだ。私は非客観的になろうとしていて、なにもそこに忍び込まない。看板描きがやる同じテクニックを使ってなにかパワフルな表現ができないかと考えた。そこでビールやスパゲッティの色の代わりに、イメージがスパゲッティになり車になった。それは変えられないんだ。アメリカの政府には都市の美観に関するカテゴリーがあって、日本のように美しい庭の伝統がないせいもあるんだけれど、アメリカでは都市の外観はもっとワイルドで若いんだ」 ※3

 

作品に使用するイメージ選定において注意していることのひとつとして…

「なんでも古くなってしまうからね。(中略)ある作品を描いたときのことを聞かれれば、そのときのことはよく覚えているのだけれどね。どういえばいいのかな、たとえば自動車はあまり変わっていない。車は車なんだ。ホットドッグはホットドッグ、ジーンズはジーンズのままでしょう。あまり気づかないことで、たくさんのことが昔のままなんだ。グラスだとか…。そうしたものを使って空間を構成する…」 ※1

 

巨大な作品を制作する理由・意味として…

 「1960年に、私は表面を押し流してしまうような空間、実際の大きさよりもずっと大きな空間を、絵の中に持たせたかった。私は私自身をリアリストだとは思っていなかったが、それというのも私はただ、それが物であるからという理由で物に焦点を当てて描いていたにすぎなかったからだ。それは昔日の巨匠の絵画のなかの大きなアラベスク模様と同じく物の一部なのであり、強調形なのである。そして強調のあるところはまた、感動が、色彩が、そのほか何であれ存在するところでもあるのだ」 ※6

「つまり、絵の近くにいると全体が見えないでしょう。でも遠ざかって見ると、そこに構成があることが分かる。近づけば色彩の場を強く感じることになるし、遠くから見れば『うむ、こいつは絵だ!』ということになる。だから二つのことがあるんだ」 ※4

 


 

 

 

 

  

 

 

 

 green07_next.gif ローゼンクイストの「美術家DATA」

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美術家の言葉の引用先、流用先文献

※1 「美術手帖 89年2月号 ARTIST’S TALK ジェームス・ローゼンクイスト インタビューアー:篠田達美p192

※3 同上 p195-196 ※4 同上 p198 ※5 同上 p191

※6 『ニューヨーク・アーティスト50人』 著:リチャード・マーシャル 訳:木島俊介 発行:同朋舎出版 1992 p93