美術家の言葉 red05_next.gif抽象表現主義>バーネット・ニューマン


  

  

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その時代の現代の美術家として、また抽象表現主義創始者のひとりとして、バーネット・ニューマンが表現しようとしたもののひとつを表すものとして…

 「現在の画家は、彼自身の感情や、彼自身の個性の神秘にかかわるのではなく、世界の神秘の洞察にかかわっている。彼の想像力は形而上的な秘密を探究することを試みつつある。そのかぎりで彼はサブライムにかかわる。象徴をとおして、その悲劇的な意味である生の根底的な真実を捉えるのは宗教芸術である」 "The Fourteen Stations of the Cross,1958-66",BN.p.189 ※1

「あたらしい画家は、これらの形態が、抽象的で、深遠な理念に生命をあたえる核となるプラズミックな本質を含んでいなければならないと感じている」 ※2

 

“芸術家(アーティスト)”と“制作者(クラフトマン)”とを隔てているもの(その違いについて)のニューマンの考えとして…

 「われわれは自己表現あるいは世界にかかわっているのか、に戻りたいと思います。あなたがたがもしクラフトマンであるなら、世界にかかわりえないと思われているようですね。しかしもしあなたがたが世界に巻き込まれているなら、あなたがたは芸術家ではありえません。われわれは、自分のイメージのなかで、ある程度までは、世界をつくるプロセスのなかにいるのです。これがわれわれとクラフトマンを隔てるものです」 (スタジオ35での対話)"Remarks at Artists' Session at Studio 35" 1950,BN.p241 ※6

 

バーネット・ニューマンが画家として行き当たった、最も重要なもの…

 「私が感じていた当時の問題とはこうです。画家にいったい何ができるのか? そして主題の問題が非常に重要であることが次第にはっきりとしてきたのです。テクニックではなく、造形性でもなく、見え方でもなく、表面でもない。そういったことはすべて、特別な意味を失っていました。

 私だけでなく、ポロックやゴットリーブのなどの仲間たちにとっても、問題は、いったい何を描くのか、ということだったのです。それまでの古い問題は全部消えてしまい、意味を失ってしまっていました。倫理的な危機の中では、そのような問題は、もはや時代の要請からずれてしまっていたのです。このことを、その時代を実際にくぐって来ていない人に説明するのは困難です。私は、そういった時代の混迷の中で、暗鬱な気分に落ち込んでいたように思います」 ※3 

 

自作のなかに現れる垂直線(ニューマンはそのストライプを自身では“Zip”と呼ぶ)が意味するものの解説ともなるもの…

「私は、私のZIPが私の絵を分割しているとは感じていなかった。それはまさに正反対のことをするものであった。それはフォーマットを半分、あるいは色々な個所で切断していなかった。全く反対に、それは統合していたのである。それは全体性を生み出していた。この点で、私は他の知的な見方から、つまりいわゆるストライプ(と見ること)から、できるだけ離れているのを感じていた」 "Interview with Emile de Antonio"1970,BN.p.306

シルヴェスターが「線」もまたフィールドではないのかと尋ねたとき、ニューマンはそれを肯定し、「あるフィールドは他のフィールドに生命をもたらします。ちょうど他のフィールドがこの<線>と呼ばれているものに生命をもたらすようにです」と答えていた。 ※4 

 

バーネット・ニューマンにとって、自作における“タイトル”が果す役割・機能について…

 「でも、それが重要な問題だということがそのうち分かりました。なぜなら、タイトルは、僕が絵を制作している時に入り込んでいた感情的な内容、あるいは様態を知らしめるためのメタファーとしての役割を果たすことができるからです。

 僕が絵を描く時には、別に、ものを観察しながら描いているわけではないので、その意味では、何も探り当てるものはないわけです。絵画そのものがあり、それが独自の主題を持ち、内容を持つ。それが、自分自身に何らかの効果を持つように望み、その絵を見る誰か他の人にも、やはり何らかの効果を持つように望む。だから、絵画とは、少なくとも、それを制作した時に抱えていた感情的な内容を、何らかの形で自ら表出しているものでしょう。だから、僕はタイトルを使うことで、絵を描いている時にその作品が持っていた意味を呼び起こすようにしているんだと思います」 ※5 

 

巨大な絵画を制作し始めた一人として、絵画のサイズが意味するものとして…

「私は決して大きさそれ自体を目的にしてかかわったことはありません。ポロックと私は(面白いことに同じ年の出来事でしたが)絵を大きくしていった最初の画家です。しかしカタログに書いたように、私はサイズを超えること、もっとうまく言うと、サイズを克服することが問題だと考えています。われわれの世代から始まって、巨大な絵を描いてきた画家は沢山います。しかしサイズは充分ではありません。

…どんなに大きくても、基本的にスケールの小さい絵があります。…絵画の本当の問題は、画家のスケールのセンスです。…絵画のスケールは結局のところ、芸術家の空間のセンスに依存しています。環境から絵画を分離することに成功するなら、それだけいいことです」  "The Case for 'Exporting' Nation's Avant-Garde Art":Interview with Andrew Hudson,BN.pp.271-272

 

 


 

 

 

  

 

green07_next.gifバーネット・ニューマンの「美術家DATA」

< おススメの1冊 >

 『神話なき世界の芸術家 バーネット・ニューマンの探求』.   著:多木浩二 発行:岩波書店 1994

 バーネット・ニューマンについての理解、という範囲を超え、抽象表現主義以降の現代美術理解のための一助(ヒント)ともなる名著。

 制作の礎となる美術家の思考・思想の深遠を垣間見られます

 バーネット・ニューマン関連の書籍

 

美術家の言葉の引用、流用先

※1 『神話なき世界の芸術家 バーネット・ニューマンの探求』...   著:多木浩二 発行:岩波書店 1994 p21

※2 同上p23 ※4 同上p155 ※6 同上

※3 『現代美術は語る ニューヨーク 1940−1970 』 著:エミール・ディ・アントニオ、ミッチ・タックマン 訳:林道郎 発行:青土社 1997 p74

※5 同上p112