美術家の言葉 ポップアート>ディヴィット・ホイックニー


  

  

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ホックニー作品といえば誰もが思う浮かべることができるプールを描いた作品群。そこでホイックニーが現そうとしたものの解説として…

 「あれは、水の表面っていうごく薄い膜についての絵だった。ゆらゆら揺れてる二次元性についてのね。見てるモノは、いったいなんなんだろう? たとえばね、昔の話だけど、プールの水を抜いて、底に青い色で線を描いたことがあったんだ。いま水が静止した状態にあるとするでしょ。すると、水を通して線がはっきりと見える、線は明快で安定しているのんだ。誰かが泳いでいると、線は揺れだす。でも、どこで線は揺れてるんだろう? 水の下に潜ると、どんなに水が揺れていようと、線はふたたび安定してる。線は表面っていう、あの極薄の膜の上で揺れているだけなんだ。そう、ぼくはああいった表面にすごく惹かれるんだ。あの絵が実際に言わんとしているのは、そのことなんだ」 ※4

 

ホックニーが初期からひとつのテーマとしていたものとして…

 「ところで、幕を使ったあの初期の絵のことを考えてほしいんだ。人はこう言ったよ。「なんだ、演劇の絵か」ってね。でも、違った見方もできるんだ。だってそうでしょ、人物が幕の手前に立っているんだからね。つまり、ここでも、枠を打ち破ろうとしてるってわけなのさ。枠は四方の周りにあるんだけど、それだけじゃなくって、手前のところに、暗にほのめかされた枠もあるんだ。ガラスが、絵の世界と観察者の世界を隔ててる。だから、この手の初期の絵のいくつか――たとえば、1963年の『劇中劇』――では、画中の人物が、なんとかしてその境界を越境しようって、必死にもがいているんだ」「このテーマは、ぼくの仕事にずっと現われているんだ」 ※5

 

「絵画は死んだ」といわれ続けていた時代を乗り越えたホックニー。ホイックニーが考える絵画の有効性とは…

 「見ることは聞くことに似て選択的だ。何が重要であるかを決定することは、他の要素が同じく見るものを決定することを意味している。いいかな、だから、絵画は面白いのだ。選択が個人の感情に写真の場合よりも一層強く密着しているために、絵画の方がずっと興味深い」 ※7

 

ホイックニーが晩年に見出した絵画表現のひとつとして…

 「中国人が唐代に、空間の奥行きという同じ問題に直面したとき、彼らは昔の時間原理を加工し直し、人がなかを逍遥できるような空間、絵の枠を超えたもっと大きな空間をほのめかす空間を暗示した。われわれは空間を、あたかも開かれた扉を通して見られているかのような、単一の眺めに限定する。彼らは、限定のない自然空間を暗示した、まるで、その開かれた窓から外に出、空間がどの方向にも、また大空まで無限に広がっているという、思わず息をのむような経験を知ってしまったかのように」 ※1

 

上記を補足するものであり、またそこでホックニーが表現しようとしていたことを表すものとして…

 「逆遠近法というのは、君に関してのものなのだ」とホックニーはいう。たとえば、机の両側を見ようと思えば「君は自分で動いて見ることになる――自分自身の記憶を見ることになるのだ」 ※3

 「1点は普通のパースペクティヴのものでしたが、もう1点は方形になっていない。それの撮影ではあっちこっちにたえず動いていなければならなかった。一点透視法のばあいにはカメラをのぞく人間は絵の外にはみだしてしまうけれども、多くの視点をとるときには空間にひきこまれてしまうということがよく分りましたね。空間のなかでの見る人になるんです」 ※6

 

ホックニーのプリント・コラージュにおける複数の視点(同一人物の顔を複数枚同一画面に貼りつける)制作技法の考え方のひとつとして…

 「六枚の写真を一緒に貼れば、それらを六回見る。だれかを見るというのは、この方法に似ている」※2

 


 

 

 

  

 

 

 

green07_next.gif ホックニーの「美術家DATA」

 

<ホックニー関連の書籍>

 

 

美術家の言葉の引用先、流用先

※1 『ホックニー画集 ひとつの回顧』 「移動する視点――ホイックニーの<ピカソとの対話>」 著:ガート・シフ 翻訳:西野嘉章 発行:リブロポート 昭和63 p48

※2 同上 p56 ※3 同上 p62

※4 『ホックニー画集 ひとつの回顧』 「1987年ハリウッド・ヒルズにディヴィットと愛犬スタンリーを訪う」 著:ローレンス・ウェシュラー 翻訳:西野嘉章 発行:リブロポート 昭和63 p81

※5 同上 p96

※6 『ディヴィット・ホックニー super Artist』「ディヴィット・ホックニーは語る」インタビュー:中原佑介 監修:中原佑介 著:ディヴィット・ホイックニー 発行:新潮社 1990 p60

※7 『ホックニーの世界』 著:マルコ・リヴィングストン 訳:関根秀一 発行:洋販出版 平成2年 p52―53