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美術家の言葉 目次

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絵画の制作技法・構造と効果 目次

 

クリストがプロジェクト(作品)を行うことの意義、作品に内在する意味を読み解くものとして…

 「人が過去に聞いた事のない所や、二度と訪れる事がないであろう場所を選んだならば、プロジェクトは違った方法で感性を構築する事になるでしょう。しかし大都市周辺でプロジェクトを行う時は、そこに住む人々だけでなく、そこに引き寄せられた人々にとっても、その場所との継続した体験が生じます。その場所と関連した見慣れた文化的要素が、変わってもいないし、珍しくもない感覚を作りだすのです。大都市がその場所を共通した平凡なものとしているのです。(中略)

 このプロジェクトは確実に彼等の生活に変化をもたらすでしょう。これはプロジェクトの一部なのです。このプロジェクトと人々の生活は強烈に影響しあうでしょう。しばしば保守的な人々は変化を好みません。基本的にかれらは両親や祖父母がしてきたと同じ様に生活することを好みます。プロジェクトは彼らの前に立ちはだかり、彼ら自身を内省させることになるでしょう。この作品はある意味では彼等の事物に対する考え方を変えることになります。私はだれもがそれを好むとは言えません。多くの人が批判的になり「ナンセンスだ」と言うかもしれません。彼等が今まで直面したことのない何かを受け入れるためには、勇気や好奇心、情熱が必要です。私達と共にプロジェクトがどの様なものとなるか、彼等に喜んで冒険をおかすようになってもらうのも私達の仕事の一部分なのです」 ※1

 

 「私のプロジェクトの本質は空間を巧妙に取り扱うことです。私がプロジェクトで使う物体や空間は既にデザインされたものか、誰か別の人によって巧みに扱われてきた空間の中にあります。(中略) それらの空間は、誰かが彼等の周りにある全ての物をデザインしたのだという事実に気付いていない多くの人によって利用されています。たとえば空間がいかに整然と整えられていても、私達はそれを当たり前と思っています。

 私はその場所へやってきて、突然穏やかな妨害を引き起こします。新しい境界、領土、分離そして分割を作り出す事によって、私は人々にその空間での動きの再調整を強いるのです。(中略) 分離や分割は威しでも横暴さでもないので、ある種の興味を生み出します。

 私のプロジェクトの重要な部分はそれらが存在する理由がない点です。(中略) しかし、それはプロジェクトの詩的な部分でもあるわけです。私達は人々の実用主義的な考え方と、それをしばらくの間不安定にさせるかも知れない私のプロジェクトとの関係をつくり上げる必要がある訳です」 ※2

 

梱包することによってクリストが示そうとしたものの、ひとつを示すものとして…

 「私が梱包を終えてしまったなどと誰にわかるのでしょうか? 私が既製のオブジェを使うのは、それが私が変貌させたい何か、私の作品の一部にしたい何かを有しているからです。私の作品はこれらのオブジェの連続性に関連しています」 ※5

 

プロジェクトにおいて、クリストがその意義、意味以外に視覚的美的効果をいかに考えていたかを示すものの例として…

 「風に揺れ動く布は歩道上の空間をより立体的に呈示することになり、その時、光沢のある布は、マンハッタンの幾何学状の鉄格子のようなパターンとは対照的に、有機的デザインを強調し、セントラル・パークの美しさと調和するだろう」 (クリスト、1980年)《ゲート、ニューヨーク、セントラル・パーク》のプロジェクト

 「人によっては私が色にこだわらないと思っているかも知れません。しかし私はつねにそれを考慮するよう心掛けています。私の初期の小さなパッケージにおいてですらです。私の作品の最も重要な面は柔らかい素材が使われていることです。私のプロジェクトは金属ケーブル等も使いますが、その主要な要素はつねに色と関連のある布です」 ※3

 

プロジェクト(作品)が特定の短期間だけ設置されることの意味について、クリスト自身の解説として…

 「実際それらは一つの美的次元として一時性を有しているのです。既に話したように、私のプロジェクトは借用した物体、空間への新しい対応、再調整を生み出す事に関連しています。この動的な状況は存在したり箱づめにしたりはできません。それは私のプロジェクトが一時的であるからこそ、存在できるのです。なぜなら一時性がエネルギーを生み出すからです。

 これがまた私がプロジェクトに布を使う理由でもあります。布が守り難さ、壊れ易さの感触を生み出してくれるのです。自然の力、あるいは私が取り去る事によってそれがすぐになくなってしまうゆえに、それを見る事に対する切迫感が存在する訳です。これは全く異なった事物の見方と関係している訳です」※6

 

日本もその舞台となった《アンブレラ》プロジェクト。何故、そのプロジェクトで日本を選んだのかの理由となるものとして…

 「しかし、それは日本だけでのプロジェクトとして計画されたものではなく、日本と私がなじんでいる西欧のどこかとの対比のプロジェクトとして考え出されたものでした。私は日本と西欧における空間の日常的な使われ方の類似を明らかにし、相違を浮き彫りにする作品を創造しようとしたのです」 ※4

 

 


 

  

 

 

 

 

 green07_next.gif クリストの「美術家DATA」

 

 

 

 

美術家の言葉の引用先、流用先文献 

※1〜6 クリストが語る−−《アンブレラ》プロジェクト インタビュアー:柳 正彦 『クリスト展図録』 編集・発行:軽井沢・財団法人高輪美術館、西武美術館、兵庫県立近代美術館、朝日新聞社 1987 

その他は上記、図録作品解説の中より