美術家の言葉 red05_next.gifエコール・ド・パリ>マルク・シャガール


  

  

トップページ/ピースフルアートランドびそう

美術家DATA 目次

美術家の言葉 目次

ism(美術運動)の証言 目次

絵画の制作技法・構造と効果 目次

 

シャガールにとって“絵画の主題”とはどのようなものかを示すものとして…

 「私には道化師、曲芸師、芸人はいつも宗教画の人物に似た悲劇的な人物に思われるのです。私は道化師やサーカスの芸人の絵には、マドンナやキリスト、恋人たちの絵を描くときのような感動的なやさしい情感を惜しみたくはないのです。この考えをおしすすめると、いわゆる“主題”というものは表現しようとしているものにそのまま似ているべきではなく、むしろ、より相似性を高めるためにさりげなく何か別のものをほのめかすべきだということができるでしょう」 ※2

 

シャガールが自身の作品のなかで目指したものを示すものとして…

 「1914年の戦争以前は、私は“文学”に陥っているといって非難されました。今日では人びとは私のことを、おとぎ話とファンタジーの画家と呼びます。実際には、私の第一の目的は、自分の絵画を建築的に構成することです――(中略)――。私は私のキャンバスを、ある方法で、フォルム(形態)としてあつかわれた事物や人物で満たそうとします……それは音のように朗々としたフォルム……キュビスムの画家の幾何学的形態や印象派の画家の光と影の斑点では到達できない、新しい次元を付加するように構想された情熱的なフォルムです」 (1943年の講演のなかで) ※1

 「象徴から絵を描くべきではありません。芸術作品が真に正統なものであれば、クレー、グリュネヴァルト、モーツァルトのように、いずれにしろ、なにがしか象徴的なものを含んでいます。象徴から始めることはできず、むしろ、象徴に辿りつく。そのとき、象徴主義は避けがたいなにかです」 (Marc Chagall, 1963) ※3

 

シャガールが感じていたこと、そして作品に反映させたことについて…

  「こんな感じがしたのですが、多分、他の次元が存在するのです。眼の次元ではない、第四次元や第五次元。そして強調したいのは、これらは、『文学』や『象徴主義』、さらには芸術においてポエジーと言われるようなものとも違うと、感じられたことです。多分これは、もっと抽象的で自由なにかでした。抽象的といっても、現実を感じさせないという意味ではなく、むしろ、飾りのなにか、装飾的でつねに部分的なものという意味です。それは多分、絵と観る者の眼を、見慣れない新しい考えや要素で貫く、造形的であると同時に心理的な一連のコントラストを直観的に生み出すなにかなのです」 (Renaissance,1945, p48) ※4

 (矢内原伊作 氏との対話の記録として)「日本人は芸術を解する国民だから是非日本で展覧会を開きたいと思う。私も東洋人だ、私の絵は根本において東洋的だから。きっと日本人はよく理解してくれるだろう。東洋には夢と詩と哲学がある」 「われわれ東洋人は西欧から多くを学ばなければならない。東洋の中に閉ぢこもっていてはいけない。なぜならポエジーはレアリスムに達しなければならないのだから。20才でパリに出てきて始めて私は自分自身の道を見出したのだ」 ※8

 

シャガールにとっての“花”が意味するものとして…

 「多分貧しい時だったのでしょう。身近に花もなかった。最初に花をもってきたのは、べラでした。その後のフランスでは、随分と花の意味するものについて考えが陳べられましたが、わたしにとって花とは、幸福に輝いている生命そのものです。花なしで過すことはできないでしょう。花は、一時ドラマを忘れさせてもくれますが、またドラマを映し出すこともできます」 (Chagall mediterraneen, p58) ※5

 

シャガールが繰り返し道化師やサーカスをモチーフとして用いた理由のひとつとして…

 「わたしの世界観の中に、これらの道化、曲馬師、軽業師は定着してしまいました。なぜでしょう。なぜ、かれらの化粧や様々な表情が、わたしを感動させるのでしょう。かれらと一緒に、別の地平に近づくのです。かれらの色彩や化粧は、わたしが描こうと夢見ている、もっと別な心理的デフォルマションへと連れていくのです」 (Chagall-Le Cirque, 1981) ※6

 


 

 

 

  

 

 

 

green07_next.gif マルク・シャガールの「美術家DATA」

マルク・シャガール関連の書籍

 

 

美術家の言葉の引用先、流用先文献

※1 島田紀夫 「シャガールからの贈りもの ――モダニズム時代のポスト・モダニスト――」 『愛と幻想の贈りものシャガール展』 編集・発行:読売新聞社、アート・プランニング レイ 1998

※2 『週刊グレート・アーティスト8 シャガール』 監修:中山公男 監修補佐:湊典子 発行:同朋舎出版 1990

※3 『マルク・シャガール ギャラリー・エンリコ・ナヴァラ・パリ』 発行:ギャラリー・エンリコ・ナヴァラ・パリ 東京代表オフィス、ADAGP,Paris 1993 p48

※4 同上p40 ※5 同上p44 ※6 同上p76

※8 (五十嵐卓 「シャガールと日本」 『愛のシャガール・コレクション アオキ・インターナショナル・シャガール・コレクション所蔵品カタログ』 監修:千足伸行 発行:アオキ・インターナショナル 1998 p17)