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ボルタンスキー自身による自作の広義の解説ともなるものとして…

 「伝記という考え方が私のやっていることの大きな部分を占めている。ただしそれは、偽りの証拠に満ちた偽りの伝記であり、当の本人が不在の伝記である」 ※3

 

ボルタンスキーが作品制作によって目指しているもの、到達しようとしているものとして…

 「ずっと前、私は、芸術家に似ている講演者たちのことをよく話したものです。彼らは、一週間ペルーに行き、それからの30年間ペルーについて講演をし続けるのです。つまり、最初に、存在に関わるような、ある際だった出来事が起こるのです。ペルーでの一週間にです。ペルーから戻ってくると、その出来事を話そうとします。そして、その話をすることの出来る者たちが、芸術家というわけなのです。

 でも、何年かたつと彼らはその一週間を色々な形で話そうとします。そして、彼らの言葉は、周囲の世界の状態によって、また言葉の一般的な形態が常に変化し続けることによって変わっていきます。私のペルーへの旅は、とても月並みないくつかのことに要約されると思います。つまり、成熟しないままでいたいという願望、大人の状態に達することの不可能性というものです。

 そして私が興味を感じたのは、多かれ少なかれ誰もが経験したことがあるこの出来事を思い出し、説明しようとし、語ろうとし、もはや個人的な出来事ではないものにしようとすることなのです。個人的ではないからといっても、誰もがかいま見たことのある風景のように、あらゆる人によってすぐにそれとわかるものです」

 (デルフィーヌ・ルナール 「クリスティアン・ボルタンスキーとの対話」、展覧会カタログ、パリ、ポンピドゥーセンター国立近代美術館、1984年) ※1

 

ボルタンスキー自身にとって、ファイン・アートの中で活動していることの価値・意義、またそのポジショニングを現わすもののひとつとして…

  たいていのアートは、宗教遺物的アイデアのまわりを名残惜しげにぐるぐると回っているようなものだ。私はそれを変えたいと思っている。

 自分は伝道者だと思う。誰でも私のアートと同じことははできる。私はただルールを定めているだけなのだ」 ※2

 

 


 

  

 

 

 

green07_next.gif ボルタンスキーの美術家DATA

ボルタンスキー関連の書籍

 

 

美術家の言葉の流用先、引用先原典

※1  「身体と表現 1920−1980 ポンビドゥーセンター所蔵作品から」 編集:東京国立近代美術館、市川政憲、千葉成夫、中村和雄 発行:NHK、NHKプロモーション 1996 p218

※2,3『ザ・ナウアート・ブック』 監修:ヴァルデマー・ヤヌシャック テキスト:セリア・リッテルトン 発行:光琳社 1996 p20-21