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 文字どおり、奥にいくほど色彩や色調が大気に影響を受けて変化することを利用した技法です。

 たとえば、右の参考図版の写真(良い風景とはとてもいえませんが)。山が三つあるのがわかりますか? 一番手前の山が一番濃く見えて、一番遠い(右奥)山が、一番明るく見えませんか?

 そうです。空気遠近法とは、距離が遠くなるほど色調が明るくなり、かつ寒色(青みかかって)になる

 これは、結構身近?なところでも目にしています。たとえば、水墨画や墨絵。手前がより濃いでしょう。よく思い出せないって!

 それなら右の図1。どうです、なんとなく納得してもらえるでしょうか?

 それでは、色がついた場合はどうなるか?

 図1に色をつけたのが図2。色調が明るくなるほど奥行きがでてきます。基本的な色づかいですね。こうした規則を利用せず、色調の濃淡が混在していると、奥行き感はなくなります。他に奥行きを示す対象物がない場合には。

 なかには故意に混乱を狙う絵画もあるでしょうが、それが画題とテーマ、描き方とマッチして成功する例は極めて少ないのが実情です。発想が新しいとか、洒落てるという単なるアイデアでは、人を感動させる域には到達しませんから。

 また、トーンだけでなく色相でも表せます。

 寒色は俗に「収縮・後退」色(錯視効果などで)であり、。暖色は「膨張・前進」色。カラー・コーディネイトの基本ですね。

 空気遠近法とは、こうした色調(トーン)と色相を取り入れた技法です。

 

 形而上絵画時代のデ・キリコは、このトーンによる空気遠近法を使用しています。キリコといえば、故意に遠近法を崩して、より不穏な空気を描き出していますが、空気遠近法には忠実だったのです。

 でも、さすがデ・キリコ。一筋縄ではいきません。キリコが空気遠近法に使用したのは、背景の空なんです。こうして、ある部分では遠近法が崩れながら、ある部分では遠近法をとりあげ、作品全体のバランスを辛うじてとっています。また、空に空気遠近法を使用することにより、“閉ざされた空間”としての効果もでているのでは…。

 一番著名な作品『街の神秘と不安』(少女の影が輪をころがしているものですよ)を見てもらってもわかります。絵の上部に注目。手前が深い緑で奥に行くに従って明るくなります。他の作品でも数多くの空で、この手法が用いられています。一度、図録を見て確かめてみてください。

 だから絵画って奥深いんですよ。私も見る度に発見、発見の繰り返しです。


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 ▼図1

 ▼図2

 

 

 

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