新表現主義(Neo-Expressionism)とは

概要

ミニマリズムの非個性に反発

1980年代初期にはじめて使われた用語で、説話を基礎とする表現主義の画家たちの作品を指す。彼らは主としてドイツで活躍し、コンセプチュアル・アートの凡庸さとミニマリズムの非個性に反発したグループである。

イーゼル絵画へ回帰
アンセルム・キーファー「無名の画家へ」

新表現主義は、歴史画のもつ伝統的関心事、すなわち、イーゼル絵画という体裁による物語の再現へ回帰した。たとえば、アンセルム・キーファーは、《無名の画家へ》(1983)において自国の近過去を扱い、ナチス時代の悲劇に対する批評を示し、また一方、ゲオルク・バゼリッツは、人々を逆さまに描いた具象画によって、人間がおかれた状況を批評しているといえよう。

純粋主義的関心事を拒否

盛期モダニズムの純粋主義的関心事を拒否する新表現主義は、ポスト=モダニズムが表現した新しいもくろみの一部(一部だけであるが)の発展に貢献した。

主な芸術家

新表現主義の主な美術家には、フランチェスコ・クレメンテ、イェルク・イメンドルフ、A.R.ペンク、ジュリアン・シュナーベルなどがいる。

出典・参考文献:『美術史の辞典』東信堂(1998年)